Good news
2019-09-12 19:35
by dn
  Last edited:

どうすれば健康なマイクロバイオームを維持できますか?

健康なマイクロバイオームを養い、維持するための方法はたくさんあります。

最初がいちばん肝心
最初がいちばん肝心

最初がいちばん肝心

人間と微生物は数百万年かけて美しい共生関係を築いてきました。自然分娩では、人間の赤ちゃんは母親の産道を通って生まれてきますが、産道にはたくさんの乳酸桿菌が生息しています。生まれてくる赤ちゃんの皮ふと口は、スポンジのように細菌を吸い寄せます。赤ちゃんが誕生して最初にすることは、母乳を飲むことです。ラクトーゼ(乳酸桿菌の大好きな栄養分)をたくさん含む母乳を飲むことで、口や皮ふに付着した細菌が体の中に流し込まれます。

こうして乳酸桿菌は人間の消化管に住む最初の細菌となります。そして、生まれてから数か月の間、赤ちゃんが飲んだミルクの消化を助けます。母乳にはさらに特別な糖分が含まれています。この糖分のおかげで、二番目の細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダムが消化管に住めるようになります。この誕生と授乳、細菌の定着の自然な流れは数百万年の間続いていて、消化管に住む「善玉菌」の選別と「悪玉菌」の排除に関わっています。

自然分娩が帝王切開に変わると、赤ちゃんが乳酸桿菌に接触できず、この細菌の消化管への定着が遅れてしまうことになります。乳酸桿菌の定着が遅れると、赤ちゃんの成長にどのような影響があるのかは正確には分かっていません。しかし、できる限り自然分娩を行って母乳で育てた方が、赤ちゃんにとって良いのは間違いないでしょう。

1日1個のりんごで医者いらずに

高繊維食
消化管の細菌は果物、野菜、ナッツ、豆類、全粒穀のような食物繊維を好みます。

栄養の問題について論じる前に、大切なことを述べます。私たちのマイクロバイオームと体の相互作用は極めて複雑で、これから説明するのはそのごく一部だけです。

MyMicrobiomeは食事内容についてのアドバイスは行いません。しかし、大切な読者の方々にご自身の意見を持ってもらえるように、科学的根拠のあるさまざまな説をご紹介いたします。

食事内容を決めることで、どの細菌を増やし、どの細菌を増やさないかを選ぶことができます。いろいろな種類の食物を食べるのであれば、消化管に生息する細菌の多様性が増大します。消化管の細菌は、果物、野菜、ナッツ、豆類、全粒粉などの植物繊維を好みます。植物繊維を食べれば、体の中の細菌は短鎖脂肪酸を生成します。短鎖脂肪酸は腸障壁をつくり、免疫機能を高めて炎症を防ぎ、がんのリスクを低下させます。

とても素晴らしいニュース があります

果物や野菜だけでなく、お茶やコーヒー、ワイン、ブラックチョコレートも、消化管マイクロバイオームの多様性の増大に相関していました。これらの食べ物はポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールは天然の抗酸化成分を含んでいます。

その一方で、食物脂肪と単糖類をたくさん含む食べ物は、消化管マイクロバイオームの多様性の減少に相関していました。

また、食物の加工方法も影響を与えます。新鮮な生の食べ物は揚げ物のような加工食品よりもたくさんの繊維を含んでいます。

食べ物は、消化管に良い細菌を体内に運ぶ乗り物にもなります。このような食べ物はプロバイオティクスと呼ばれます。例えば、発酵食品には乳酸桿菌ビフィズス菌などの善玉菌がたくさん含まれています。

もっと簡単に言えば、食べる食べ物の種類が少なくなるほど、マイクロバイオームの多様性は減っていきます。

ヨーグルトは消化管に良い細菌を体の中に運んでくれる食べ物です。

あなたは几帳面な人ですか?

マイクロバイオームの研究者たちは、現代人がどれだけマイクロバイオームの多様性を失っているのかに関心を持ち、アマゾンで孤立して生活するヤノマミ族の集落で排泄物、口、皮ふのマイクロバイオームを採取し、分析を行いました。

排泄物のマイクロバイオームを除き、ヤノマミ族の皮ふのマイクロバイオームはアメリカ人のものとは完全に異なっており、より大きな多様性を持っていました。

西洋人の皮ふのマイクロバイオームではブドウ球菌が優勢なのに対し、ヤノマミ族では単独の種の細菌が特別多い状態にはなっていませんでした。過去に土壌菌として報告された細菌さえも豊富に見られました。この理由は簡単に説明できます。ヤノマミ族は、近代的な住宅で暮らし、外出後には汚れを洗い落とす現代人とは対照的に、自然と水の近くで暮らし、わずかな服しか身に着けていないからです。

要するに、人間の皮ふのマイクロバイオームは、私たちが外でより長く過ごせば過ごすほど、より多くの恩恵を受けるのです。子供たちを外で遊ばせ、私たちも一緒に遊びましょう!

抗菌石鹸や消毒剤のような衛生用品を使う場合は注意して製品を選んでください。制汗剤、歯磨き粉、マウスウォッシュ、洗顔剤の成分をよく確認してください。あなたと共生する細菌を死滅させてしまう必要はありません。普通の石鹸で手を洗えばそれで十分です。殺菌剤は必要ないのです!

Mother Dirtという製品をご存知でしょうか。AOBiome社は石鹸をやめて、細菌で体を洗うことを勧めています!ニューヨークタイムズマガジンの記者は、長年使っていたクレンジング製品を細菌のトリートメントに変え、肌が以前よりも柔らかく滑らかになったと報告しています!


AOBiome社は石鹸をやめて、かわりに細菌で洗うことを勧めています!
AOBiome社は石鹸をやめて、かわりに細菌で洗うことを勧めています!


Zendium
Zendium製品は口内で善玉菌の成長を促します。

 

著者は最近、口の中で善玉菌の成長を促進するという歯磨き粉のコマーシャルを目にしました。試してみて、もし良ければお勧めします!

抗生物質-マイクロバイオームを傷つけるもの

最後に、マイクロバイオームにとっての最大の敵について説明しておきます。そう、抗生物質です。(詳しくは「薬剤耐性菌の危険性」をお読みください)

抗生物質を使うときには、あなたは細菌の生態系に核兵器を落とそうとしているのだということを忘れないでください。抗生物質を使うと、生態系が回復するまでに数年はかかります。ひょっとすると完全には回復しないかもしれません。それだけでなく、免疫系が弱り、感染症に罹りやすくなるかもしれません。

抗生物質を使う前には少なくとも二度考えてください。本当に調子が良くないのか、あと数日は我慢ができるのではないかと。内科医に感染症について診断を仰いでくださいーもし症状がウイルスによって起こされていたのであれば、抗生物質を使っても無意味です。

 


マイクロバイオームに関する文献を読みたいのであれば、ニューヨーク・ヒトマイクロバイオーム・プログラムのディレクターであるマーティン・J・ブレイザー教授の著作をオススメします。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

この記事が気に入ったらシェアしてください。
Copyright 2019 mymicrobiome.co.jp - All rights reserved.

免責事項:このサイトやブログの内容は医学的助言、診断や治療を提供することを意図したものではありません。