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2019-06-26 17:56
by Lisa Keilhofer
  Last edited:

最後の手段となる抗生物質の、畜産物への使用を厳しく規制する必要性

Chicken with antibiotics
チキンレッグが消費者の元に届けられる前に、鶏肉には抗生物質が使われています。画像:Lukas, Pexels.com

2018年11月、科学雑誌の『Bayerische Rundfunk』は、最後の手段となる抗生物質の使用に関するポッドキャストを配信しました。

最初に述べておきたいのは、科学者たちは、人々の命を救う抗生物質の効果が永続することはなく、薬剤耐性が発達するまでの間しか有効でないことを理解しているということです。しかし、この事実は一般にはあまり知られていません。抗生物質の効果が失われるまでに長い時間はかかりません。また、抗生物質の効果が失われる理由もよく知られています。現代社会では抗生物質を過剰に使用している一方で、すぐに使うのをやめてしまいます。そのため、本来排除されるべき細菌が薬剤耐性を発達させられるのです。結果的に、薬剤耐性は拡大し続けています。

緊急時のための最後の手段となる抗生物質

以上の理由から、医師や科学者たちはいわゆる最後の手段となる抗生物質を使うことを控えています。抗生物質を使わない限り薬剤耐性は発達せず、通常の抗生物質が効かない場合の最後の手段として温存しておけるからです。最後の手段となる抗生物質の使用を抑制し、本当の緊急時以外は使用しないことに関してはコンセンサスがあります。しかし、畜産業界ではこの暗黙の了解は全く守られていません!

困ったことに、最後の手段となる抗生物質が畜産業界に販売されています

少なくともドイツにおいては、畜産業界で抗生物質の使用に関する規制はまだ確立されていません。チキンレッグが消費者の元に届けられる前に、トキソプラズマサルモネラ菌などの病原菌を排除するために、鶏肉に抗生物質が使われています。この消費者のための「配慮」は、製造業者にとっての保険にもなります。しかし、グリルなどの通常の方法で鶏肉を調理すれば、トキソプラズマサルモネラ菌は熱によって殺菌されます。したがって、抗生物質を使うことは過剰な行為なのです。もっと悪いことは、調査の結果、最後の手段となる抗生物質が不注意に(そして無意味に!)使われていることが分かったことです。貴重な救急薬が畜産物を通じて人間の体の中に入り込み、細菌が薬剤耐性を獲得できるようになっているのです。このままでは最後の手段となる抗生物質が本当に必要な時に役立たなくなってしまいます。

事前に強く警告することが、有効な対策になります

この事実は非常に大きな問題です。しかし、まだ有効な対策を講じることはできます。欧州委員会はすでに、抗生物質の使用状況を改善するための規制を提案しました。しかし、関連する法律は未だ制定されておらず、法案の提示が必要な状況です。消費者としては何ができるでしょうか?ひとつは、工業的に生産された加工食品を避けるべきです。肉を食べるのをやめたくなければ、地元の肉屋か精肉業者から購入するようにしてください。最初に述べたように、適切に調理された鶏肉は有害ではなく、抗生物質を使った鶏肉よりも体や環境に与える有害な影響は小さいのです。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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