最後の手段となる抗生物質の、畜産物への使用を厳しく規制する必要性
2018年11月、科学雑誌の『Bayerische Rundfunk』は、最後の手段となる抗生物質の使用に関するポッドキャストを配信しました。
最初に述べておきたいのは、科学者たちは、人々の命を救う抗生物質の効果が永続することはなく、薬剤耐性が発達するまでの間しか有効でないことを理解しているということです。しかし、この事実は一般にはあまり知られていません。抗生物質の効果が失われるまでに長い時間はかかりません。また、抗生物質の効果が失われる理由もよく知られています。現代社会では抗生物質を過剰に使用している一方で、すぐに使うのをやめてしまいます。そのため、本来排除されるべき細菌が薬剤耐性を発達させられるのです。結果的に、薬剤耐性は拡大し続けています。
緊急時のための最後の手段となる抗生物質
以上の理由から、医師や科学者たちはいわゆる最後の手段となる抗生物質を使うことを控えています。抗生物質を使わない限り薬剤耐性は発達せず、通常の抗生物質が効かない場合の最後の手段として温存しておけるからです。最後の手段となる抗生物質の使用を抑制し、本当の緊急時以外は使用しないことに関してはコンセンサスがあります。しかし、畜産業界ではこの暗黙の了解は全く守られていません!
困ったことに、最後の手段となる抗生物質が畜産業界に販売されています
少なくともドイツにおいては、畜産業界で抗生物質の使用に関する規制はまだ確立されていません。チキンレッグが消費者の元に届けられる前に、トキソプラズマやサルモネラ菌などの病原菌を排除するために、鶏肉に抗生物質が使われています。この消費者のための「配慮」は、製造業者にとっての保険にもなります。しかし、グリルなどの通常の方法で鶏肉を調理すれば、トキソプラズマやサルモネラ菌は熱によって殺菌されます。したがって、抗生物質を使うことは過剰な行為なのです。もっと悪いことは、調査の結果、最後の手段となる抗生物質が不注意に(そして無意味に!)使われていることが分かったことです。貴重な救急薬が畜産物を通じて人間の体の中に入り込み、細菌が薬剤耐性を獲得できるようになっているのです。このままでは最後の手段となる抗生物質が本当に必要な時に役立たなくなってしまいます。
事前に強く警告することが、有効な対策になります
この事実は非常に大きな問題です。しかし、まだ有効な対策を講じることはできます。欧州委員会はすでに、抗生物質の使用状況を改善するための規制を提案しました。しかし、関連する法律は未だ制定されておらず、法案の提示が必要な状況です。消費者としては何ができるでしょうか?ひとつは、工業的に生産された加工食品を避けるべきです。肉を食べるのをやめたくなければ、地元の肉屋か精肉業者から購入するようにしてください。最初に述べたように、適切に調理された鶏肉は有害ではなく、抗生物質を使った鶏肉よりも体や環境に与える有害な影響は小さいのです。
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