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2019-05-31 13:48
by Kristin Neumann
  Last edited:

生物多様性だけが肌の健康を測る指標となる

生物多様性だけが肌の健康を測る指標となります
「生物多様性だけが肌の健康を測る指標となります」(キット・ヴァーレン・ラッセル、JooMo Ltd.)

キット・ヴァーレン・ラッセル(JooMo Ltd.研究開発ディレクター)へのインタビュー

ヴァーレン・ラッセルは2017年に皮ふマイクロバイオームについての総説を発表しました。総説の中でヴァーレンは、肌の健康と皮ふマイクロバイオームを扱った著作や記事、論文を要約して紹介しています。総説の結論は、皮ふマイクロバイオームの多様性が大きいほど、肌がより健康になるというものでした。 ヴァーレンはこの結論から、将来的には皮ふの細菌の多様性が肌の健康を測る唯一の指標になるだろうと述べています。

西洋社会は皮ふの細菌の多様性を大きく失っています

西洋文明の影響を受けていない発展途上国の人々と比べると、欧米諸国の人々が皮ふの細菌の多様性を大きく失っていることは明らかです。西洋文明は過度に衛生に囚われ、殺菌剤を日常的に使用してきました。このことで大きな代償を負っています。人々はアレルギー疾患や喘息、脂性肌や乾燥肌、ふけやにきびに苦しんでいます。

ヴァーレンの総説では、発展途上国や農村部、欧米諸国の都市部から収集した様々なデータをまとめ、特徴を述べています。

西洋文明と肌の健康のグラフ

このグラフは、欧米諸国の都市部と接触が少ない地域(発展途上国や農村部)ほど肌が健康で、皮ふマイクロバイオームの多様性も大きいことを示しています。また、発展途上国か欧米の都市部かに関わらず、傷ついた肌(点線部分)では皮ふの細菌の多様性が減少していました。

生物多様性が豊かなほど環境に良いということは、自然界のすべての生態系で共通です。皮ふの細菌生態系だけが異なるという理由はありません。

それでは、どのようにすれば自然な皮ふの細菌の多様性を取り戻せるのでしょうか?現代人は裸で森の中で暮らすというわけにはいきません。他に手段はないのでしょうか?一つは、日常生活で使う衛生用品を注意深く選ぶことです。ほとんどの化粧品は皮ふの細菌の多様性を低下させてしまいます。ヴァーレンによると、プロバイオティクスを肌に使うことは無意味です。「誰も健康に良い皮ふの細菌の割合など知りません。また、皮ふに生息する細菌の種類が場所によって大きく異なるということも知られていません」。

イエローストーン国立公園のオオカミの再導入

イエローストーン国立公園にオオカミを再導入したことは、生物多様性を劇的に回復させました。

イエローストーン国立公園にオオカミを再導入したことは、生物多様性を劇的に回復させました。
ヴァーレンは皮ふの生態系をイエローストーン国立公園の生態系と比較します。「1995年から96年にかけて行われたイエローストーン国立公園へのオオカミの再導入は、生態系を大きく変えました。それも、多くの科学者たちが不可能だろうと考えていた結果をもたらしたのです。生物多様性は非常に大きく増加しました。直接的・間接的な変化が観察され、川の流れさえ変わったのです。ビーバー、ハイイログマ、ワシ、カラスなどの生物の個体数が増加しました。ブルーベリーの灌木も生い茂りました。そして、それ以前には増えすぎていたエルクの数が減ったのです。エルクの個体数がオオカミによって調整されていれば、生態系への脅威はわずかしかありません。しかし、オオカミがいなければ、エルクは生態系にとって『病原菌』となってしまいます」。

「同じことは人間の皮ふにも起こります。皮ふの生態系が微妙なバランスを失ってしまうと、それまでは無害だった微生物が生態系や宿主を傷つけてしまうのです」。

JooMoは二つのマイクロバイオーム・フレンドリーな製品を提供しています。JooMo100%天然ボディウォッシュとJooMo 100%天然フェイスウォッシュです。

JooMoの製品の特徴とは何でしょうか?どのようにマイクロバイオーム・フレンドリーなのですか?

「グラーツ大学の協力を得て臨床試験を行いました。私たちの製品を、現在主流となっている『天然成分』を含んだ製品や『合成化合物』を使っている製品と比較しました。JooMoの製品では使用を開始してから2週間で皮ふの細菌の多様性増大が観察されました。さらに、JooMoの製品だけ、肌の水分をわずかですが増えました。市場は『天然成分』の製品で溢れかえっていますが、その多くが合成化合物を含んでいます。JooMo製品は100%完全に天然成分だけを使っています」。

私たちは近いうちに公開される予備データを受け取りました。


キット氏にはインタビューに応じて頂いたことを感謝します。JooMoのデータ公開と新製品を楽しみにしています!

キット・ヴァーレン・ラッセルとクリスティン・ノイマン
マイクロバイオーム・カンファレンス(ロッテルダム、2018年3月)にて、キット・ヴァーレン・ラッセル(Joomo Ltd.)とクリスティン・ノイマン
クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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