Good news
2019-05-06 13:57
by Kristin Neumann
  Last edited:

2018年にロッテルダムで開催されたマイクロバイオーム会議で、クリスティン・ノイマン博士がキャス・オネイル博士(スキンバイオティクス®)にお話を伺いました。

Dr. Kristin Neumann and Cath O'Neill (SkinBiotix®) at the Microbiome Congress in Rotterdam, 2018.
2018年にロッテルダムで開催されたマイクロバイオーム会議で、クリスティン・ノイマン博士がキャス・オネイル博士(スキンバイオティクス®)にお話を伺いました。

キャス・オネイル博士はマンチェスター大学生化学講座の上級講師を務め、バイオ企業スキンバイオティクス社®のCEOでもあります。クリスティン・ノイマン博士はMyMicrobiomeのウェブサイトを設立しました。二人は2018年3月にロッテルダムで開かれたマイクロバイオーム会議で会談しました。二人とも皮ふマイクロバイオームの専門家で、会談は研究の現状を深く掘り下げた実り豊かなものとなりました。皮ふマイクロバイオームは現在少しずつ研究が進んでいる分野で、スキンバイオティクス社は研究の初期から先進的な役割を果たしています。早くも2012年には、キャス・オネイル博士の研究チームが、プロバイオティクスとプレバイオティクスによる治療が肌に与える影響についての研究を発表しています。

現在でも、スキンバイオティクス社はマイクロバイオーム研究において重要な指標を打ち出しています。最近では、 人間の皮ふを直接対象とした同社初の研究を実施し、結果を公表しました(>>> 研究の詳細(英語))。以下ではこの研究を要約し、内容と結果について見ていきます。

この研究は、129名のボランティア参加者の傷ついていない肌を対象として、29日の期間で行われました。同社の製品であるスキンバイオティクスがスキンバリアにもたらす効果と、製品の安全性を示すことが目的でした。試験結果はこれらの目的に対して十分なエビデンスを提供するものでした。製品によって皮ふへの刺激を訴えた参加者は一人もいませんでした。

研究をより深く理解するための技術的背景

スキンバリアにもたらされる効果を計る指標が角層の水分拡散量で、いわゆるコルネオメーターで計られます。測定結果はTEWL(経皮水分喪失量)で表されます。TEWLは時間単位ごとに表皮層を通過した水分量を意味します(今回の研究では人間の肌を対象にしていますが、TWELは植物の研究でも用いられます)。測定単位はg/m²/hまたはµg/mm²/hです。

スキンバイオティクスは乳酸桿菌ビフィズス菌ライセートからつくられています。ライセートは人間の消化管に生息しているプロバイオティクス細菌の抽出物です。本来、皮ふはこれらの細菌が生息する場所ではないのですが、研究室環境においてライセートは肌の生理機能に良い影響を与えました。このライセートを用いると、スキンバリアが強化され、有害な毒物や分子、イオンの浸透性が低下します。有害な物質の浸透性が低下すれば、感染症の感染率が低下し、傷の治りが良くなります。実験結果はこれらの仮定が正しいことを証明しました。現在の研究では、どのようにしてこのライセートを人間の肌に適用するのかを調べています。

どのような試験デザインで実験は行われたのですか?

試験に参加したボランティアは3つのグループに分けられました。グループ1ではスキンバイオティクスを脚にだけ使い、その他の部分には用いませんでした。グループ2では有効成分を含まないクリームをキャリア培地として使い、クリーム中の有効成分以外の物質から間接的に刺激が生じる可能性を除外しました。また、グループ2では、片方の脚にはスキンバイオティクスを使いませんでした。グループ3は比較対照群で、片方の脚にスキンバイオティクスを使い、もう片方の脚に有効成分を含まないキャリア培地を使いました。グループ3を設けた目的は、特定の参加者が持つ強い感受性が原因となって刺激が起こり得ることを示すことです。

試験期間中日の試験開始15日後にTEWLを計り、最終日の試験開始29日後にもう一度TWELを計りました。

試験の結果、スキンバイオティクスは皮ふを刺激をしないことを示しました

上記のように、いずれの参加者も、スキンバイオティクスの有効成分による刺激は起こりませんでした。グループ1から3の50歳以下の参加者は、使用開始15日後に皮ふ水分量の顕著な増加が認められました。有効成分を含まないクリームを用いたグループ2と3の参加者では、皮ふ水分量の増加は中程度でした。試験終了後、50歳以下の参加者の全員が、同程度の皮ふ水分量の増加を示しました。参加者の年齢が若いほど、有効成分に早く反応しました。

60歳以上の参加者では29日間の試験を終えた後、皮ふ水分量がわずかに減少しました。TEWLと肌の弾力に関して他の年齢グループと差はありませんでした。

結果をまとめると、スキンバイオティクスは肌に刺激を与えない製品と言うことができます。効果は年齢グループによってわずかに異なりました。研究の結果は、キャス・オネイル博士が推測するように、服薬指導や、異なる年齢群をターゲットした成分の構造式にも応用できます。この結果は過去の実験結果が示した期待に応えるものです。スキンバイオティクスの有効成分は肌のタンパク質レベルを向上させ、スキンバリアに良い影響を与えます

キャス・オネイル博士は試験の参加者から好意的なフィードバックがあったことに特に喜んでいます。健康なスキンバリアは悪い影響を受けにくく、良好な反応を示しました。このことは、スキンバイオティクスの湿疹などの皮ふ疾患への応用の可能性を示しています。

スキンバイオティクスに関する今後の発表を楽しみにしています。また、将来の研究が刺激的な結果を得られるように祈っています。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

この記事が気に入ったらシェアしてください。
Copyright 2019 mymicrobiome.co.jp - All rights reserved.

免責事項:このサイトやブログの内容は医学的助言、診断や治療を提供することを意図したものではありません。