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2019-09-13 12:55
by Kristin Neumann
  Last edited:

神経系とマイクロバイオーム

腸脳軸-マイクロバイオームは感情に影響を与えます
腸脳軸-マイクロバイオームは感情に影響を与えます

あなたは直観に従いますか(英語の格言、直訳すると「腸の感覚に従いますか」)?この古い格言には、人々が想像する以上に多くの真実が含まれています。

腸は人間の感覚に影響を及ぼします。また、脳は脳腸相関を通じて消化管を制御しています。そして、この連携の多くにマイクロバイオームが関わっているのです。

消化管と脳をつなぐ最も重要な経路が迷走神経です。迷走神経は唾液分泌、心臓の鼓動や消化を制御しています。逆に言うと、消化管は脳に「満腹している」と伝え、リラックスしているときには心臓の鼓動を抑えるといった役割を担っています。迷走神経が受け取るメッセージは、消化管のマイクロフローラの代謝物や免疫・ホルモン細胞のメッセンジャー物質に由来しています。そして、消化管の免疫細胞やホルモン細胞由来のメッセンジャー物質は、消化管マイクロバイオームの働きに依存しています。腸からのメッセージが脳に届けられるもう一つの経路は血液で、何十万もの細菌代謝産物が体の中を駆け巡っています。

マウスを用いた実験によって、消化管の細菌と脳の関係が証明されています。大人しいマウスの消化管の細菌を情緒不安定なマウスに移植すると、情緒不安定なマウスの恐怖の感情がおさまることが分かっています。また、これまでにヨーグルトやプロバイオティクスの摂取が人間の気分に良い影響を及ぼすことが示されています。これらを考慮すると、将来的には憂鬱に苦しむ患者の消化管マイクロバイオームをスクリーニングし、不足している善玉菌を食事として与えるというようなことが行われるかもしれません。その時が来るまでは、健康な食事を心がけましょう!

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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