マイクロバイオームが一般にも認知されるように
「シュピーゲル」誌(2019年27号)に「スーパー臓器-腸と長生きの秘密」という見出しの記事が掲載されました。記事の本当のタイトルは「良い食事をしよう(Eat good now)」(ドイツ語では「これで終わりにしよう」という意味もあります)です。タイトルを見て、記事は食事療法のガイドラインについて書いたものだと思う人もいるかもしれません。しかし、記事の内容はさらに一歩踏み込んでいます。消化管マイクロバイオームと細菌が人間の心身の健康に及ぼす影響について、綿密に書いています。
消化管マイクロバイオームに食事が及ぼす影響
記事ではさまざまな科学者の言葉が引用されています(例えば、スタンフォード大学のエリカ・ソネンバーグや、ルクセンブルク保険研究所のマヘシュ・デサイ)。また、メディアの記事も引用されています(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルやサイエンス誌)。読者は科学のとても複雑な話題の要点を抑えることができます。
科学の主流となりつつあるマイクロバイオーム
Mymicrobiomeの読者がこの記事から新しく学べることはないでしょう。そのため、ここでは記事の詳細を紹介することはしません。今回、この記事を取り上げるのは他の理由からです。今までMymicribiomeで公開してきた記事は、大学の研究室や科学雑誌、アメリカのメディアの科学エッセイを元にしていました。しかし、「スーパー臓器-腸と長生きの秘密」の記事は、マイクロバイオームという話題が研究者や専門家などの限られた人々だけでなく、一般の人々にも認識されたことを示しています。
Mymicrobiomeの「科学者たちがこれまで未探索だった肺マイクロバイオームに注目し始めています」という最近の記事で触れた「Apotheken Umschau」という雑誌は、明らかにこの傾向を表しています。この雑誌の読者も科学者ではありません。健康問題に関心を持っている人々です。シュピーゲル誌の読者は多数派だということができるでしょう。健康への関心と教育の点で社会の平均的な人々です。明らかに、マイクロバイオームは一般にも認知されるようになっています。私たちにとって、このことはぜひ報告しておきたい大切な一歩です。
食事に関する知識以上のことを理解する
記事では、消化管を傷つけないために推奨される食事について新しいことは書いていません。ジュリア・エンダースの『おしゃべりな腸』やバス・カストの『Ernährungskompass』(ドイツ語版のみ)が出版されてから、少なくとも消化管にとって良い食事が何かは理解されています。ですが、これらの著作では、読者に生化学的な背景を説明することまではしていません。マイクロバイオーム研究の全貌については説明していないのです。このような状況は、今こそ終わりを迎えているように思えます。
消化管マイクロバイオームはマイクロバイオーム研究へのイントロダクション
多くの人が、消化管マイクロバイオームからマイクロバイオームの分野に入っていることは明らかです。科学でもかつては、消化管マイクロバイオームだけが研究され、肺や口、皮ふなどのマイクロバイオームは最近まで注目されていませんでした。
Mymicrobiomeで公開した皮ふマイクロバイオームについての記事は、化粧品業界における同分野の研究動向について触れた現在唯一の記事です。シュピーゲル誌の記事は、ヨーロッパにおいてマイクロバイオームの話題(最初は消化管から始まり、次に皮ふ)が一般の人々にも認知されているという希望を与えてくれます。
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