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2019-07-17 10:50
by Lisa Keilhofer
  Last edited:

マイクロバイオームが一般にも認知されるように

マイクロバイオームが一般にも認知されるようになりました。
マイクロバイオームが一般にも認知されるようになりました。このことは、私たちにとって大切な一歩です。

「シュピーゲル」誌(2019年27号)「スーパー臓器-腸と長生きの秘密」という見出しの記事が掲載されました。記事の本当のタイトルは「良い食事をしよう(Eat good now)」(ドイツ語では「これで終わりにしよう」という意味もあります)です。タイトルを見て、記事は食事療法のガイドラインについて書いたものだと思う人もいるかもしれません。しかし、記事の内容はさらに一歩踏み込んでいます。消化管マイクロバイオームと細菌が人間の心身の健康に及ぼす影響について、綿密に書いています。

消化管マイクロバイオームに食事が及ぼす影響

記事ではさまざまな科学者の言葉が引用されています(例えば、スタンフォード大学のエリカ・ソネンバーグや、ルクセンブルク保険研究所のマヘシュ・デサイ)。また、メディアの記事も引用されています(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルやサイエンス誌)。読者は科学のとても複雑な話題の要点を抑えることができます。

科学の主流となりつつあるマイクロバイオーム

Mymicrobiomeの読者がこの記事から新しく学べることはないでしょう。そのため、ここでは記事の詳細を紹介することはしません。今回、この記事を取り上げるのは他の理由からです。今までMymicribiomeで公開してきた記事は、大学の研究室や科学雑誌、アメリカのメディアの科学エッセイを元にしていました。しかし、「スーパー臓器-腸と長生きの秘密」の記事は、マイクロバイオームという話題が研究者や専門家などの限られた人々だけでなく、一般の人々にも認識されたことを示しています。

Mymicrobiomeの「科学者たちがこれまで未探索だった肺マイクロバイオームに注目し始めています」という最近の記事で触れた「Apotheken Umschau」という雑誌は、明らかにこの傾向を表しています。この雑誌の読者も科学者ではありません。健康問題に関心を持っている人々です。シュピーゲル誌の読者は多数派だということができるでしょう。健康への関心と教育の点で社会の平均的な人々です。明らかに、マイクロバイオームは一般にも認知されるようになっています。私たちにとって、このことはぜひ報告しておきたい大切な一歩です。

食事に関する知識以上のことを理解する

記事では、消化管を傷つけないために推奨される食事について新しいことは書いていません。ジュリア・エンダースの『おしゃべりな腸』やバス・カストの『Ernährungskompass』(ドイツ語版のみ)が出版されてから、少なくとも消化管にとって良い食事が何かは理解されています。ですが、これらの著作では、読者に生化学的な背景を説明することまではしていません。マイクロバイオーム研究の全貌については説明していないのです。このような状況は、今こそ終わりを迎えているように思えます。

消化管マイクロバイオームはマイクロバイオーム研究へのイントロダクション

多くの人が、消化管マイクロバイオームからマイクロバイオームの分野に入っていることは明らかです。科学でもかつては、消化管マイクロバイオームだけが研究され、肺や口、皮ふなどのマイクロバイオームは最近まで注目されていませんでした。

Mymicrobiomeで公開した皮ふマイクロバイオームについての記事は、化粧品業界における同分野の研究動向について触れた現在唯一の記事です。シュピーゲル誌の記事は、ヨーロッパにおいてマイクロバイオームの話題(最初は消化管から始まり、次に皮ふ)が一般の人々にも認知されているという希望を与えてくれます。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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