甘味料が消化管マイクロバイオームを傷つける
食品業界が砂糖の代替品を探し求めてから数十年が経過しています。砂糖は食品の味を良くします。ある研究によれば、人間が砂糖を美味しいと感じるのは、母乳の優しい甘さに似ているからと言われています。また、甘い果物の多くは食べることができますが、苦みのある植物には毒のあるものも少なくありません。苦みは植物が身を守るための手段で、食べようとする生き物に警告を与えるためのものです。ある試験結果によると、食品が多くの砂糖を含んでいるほど、人間はその食品を好むことが分かっています。チョコレートだけでなく、ケチャップでも同様です。そうならば、食品メーカーが消費者の好みに応え、ライバル企業に勝つために、商品に砂糖を加えるという安上がりな手段を見逃さないわけがありません。
甘味料を使うことは消費者への妥協?
もちろん、砂糖の摂り過ぎが健康に良くないことは、科学の理論としても、個人の経験としても目新しいことではありません。そのため、消費者は「ノンシュガー」と記された製品を好みます(この話題に関して、「アメリカに移民すると肥満になる可能性が高まり、マイクロバイオームが変化する」の記事を読むことをお勧めします)。その結果、食品メーカーは、本物の砂糖を使わず、甘味料を代用することで食品に甘みをつけるようになっています。しかし、甘味料が無害か健康に良くないのかについては、いつものように議論が分かれています。長い間、人工甘味料は健康に良くないと考えられており、人工甘味料を含む食品はスーパーマーケットでは少ししか取り扱われていませんでした。しかし、最近公表されたローバッハらの研究は、甘味料には問題がないと結論しています。LoCarb NoCarb Sweeteners (LCNS)という甘味料は人間の消化管マイクロバイオームに無害で、規制機関に承認された量では安全であるとされています。
しかし、ローバッハたちの研究の結論は誤りです
研究を再検証すると、試験結果を再現することはできませんでした。ローバッハの主張は誤りです。甘味料は消化管マイクロバイオームを傷つけます。通常の量で摂取した場合もです。
研究ではそれぞれ10匹のラットからなる5グループを調査しています(ラットは米国FDAによって、人間の消化管マイクロバイオームと比較可能な種であると認められたものです)。12週の間、それぞれのグループのラットに体重1kgあたり1.1mg、3.3mg、5.5mg、そして11mgのスクラロース(人工甘味料)を与えました。比較グループには通常の飲料水が与えられました。ラットの糞便サンプルを毎週採取し、ビフィズス菌、乳酸桿菌、バクテロイデス、クロストリジウム、好気性菌、嫌気性菌を分析しました。合計で4200回の測定を行っています。結果は、先行研究でも示されたように、マウスの消化管細菌が減少するというネガティブな副作用を示すものでした。
LCNSは消化管マイクロバイオームを長期的に傷つけます
スクラロースを与えた12週間の実験が終わった後も、マウスの消化管マイクロバイオームは実験前の多様性の大きさを完全に取り戻すことはできませんでした。別の調査では、平均体重の人が1日1杯のソフトドリンクを飲むと、心血管疾患、メタボリックシンドローム(2型糖尿病)、過剰な体重増加のリスクが上昇することが証明されています。試験参加者は、インシュリン感受性の低下に伴って、インシュリン分泌が増えました。この試験結果と先行研究を考慮すると、ローバッハたちの研究が誤っていることが証明されます。スクラロース(ほぼすべての人口甘味料で使われています)は明らかに消化管マイクロバイオームを傷つけるものです。ローバッハたちの研究が誤っていた理由の一つとして考えられのは、人口甘味料の製造企業によって出資されている貿易グループから資金提供を受けていたことです。
砂糖と人工甘味料、どちらが良いのですか?
不安に思う消費者の方は、どの研究が正しいのか、また砂糖や人工甘味料は取った方が良いのか疑問に思うでしょう。正直なところ、エンドユーザーである消費者の方にどの研究が信頼できるものなのか伝えることは難しいです。なぜなら、研究の資金提供源について常に公開されているわけではないからです。砂糖や人工甘味料が健康に良いものなのかどうかに関しては、マイクロバイオームの研究者は決してそれらを推奨したいとは思わないはずです。なぜなら、砂糖には健康にネガティブな影響もあるからです。従って、私たちは工業的に製造された加工食品を避け、家庭で調理した新鮮な食べ物を食べることをお勧めします。また、砂糖や甘味料を含む食事を欲さないように、味覚を慣らしましょう。
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