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2020-01-21 13:20
by Inge Lindseth
  Last edited:

マウスウォッシュの使い過ぎはマイクロバイオームに良くない?

抗菌成分を含んだマウスウォッシュの使い過ぎに気を付けましょう
抗菌成分を含んだマウスウォッシュの使い過ぎに気を付けましょう(画像: © Asier – stock.adobe.com)

使い過ぎないことが大切です。

ある研究(英語リンク)によると、抗菌成分を含んだマウスウォッシュを頻繁に使う人は、糖尿病のリスクが増える可能性があります。その理由として、マウスウォッシュに含まれる抗菌成分が原因となり、人間の食物中に含まれる物質を栄養分として利用する細菌の数が減ってしまうことが挙げられています。

消化管の細菌だけが人間にとって重要な細菌であるわけではありません。口の内に住む細菌も健康にとって大切な存在です。口内の細菌の役割には消化管の細菌よりも重要なものもあります。その一つが、硝酸塩を亜硝酸塩に変えることです。一酸化窒素をつくるためには、亜硝酸塩が必要です。硝酸塩から直接つくることはできません。

一酸化窒素は人間の体内でさまざまな働きを担っており、血圧に影響を与えたり、細胞間で必要な酸素量が異なるときに筋肉に運ぶ血液量を調整したりと言った、重要な役割もあります。

消化管から口に戻ってみましょう

硝酸塩はビーツなどの食べ物に大量に含まれており、このような食べ物が消化管で吸収されたとき血流に取り込まれます。その後、血流に取り込まれた硝酸塩の一部はとても面白い運命を辿ります。唾液の一部として分泌され、口の中で多くの硝酸塩が亜硝酸塩に変えられるのです。この亜硝酸塩は今度は腸で吸収されます。

マウスウォッシュの日常的な使用は糖尿病のリスクを増加させます

今回参照した研究では、体重過多/肥満の参加者を3年間にわたって経過観察しています。そして、前糖尿病/糖尿病と診断されるリスクの増加に関して調査しています。マウスウォッシュを1日に2~3回使用していた参加者は、マウスウォッシュの使用頻度が少ない参加者や全く使わない参加者と比較して、前糖尿病や糖尿病のリスクが50%程度増加していました。この関連は交絡因子の調整後にも認められました。おそらく最も重要なことは、他の口腔衛生用品では交絡が認められず、口内の状態や病気の変化もなかったことです。いずれにせよ、糖尿病の発症にマウスウォッシュが影響を及ぼすという説に関して確証を得るためには、さらなる研究が必要です。研究の進展は、マウスウォッシュを使用するタイミングについてより理に適ったアドバイスを行うためにも必要です。

マウスウォッシュは耐糖能の短期的な改善を無効にしてしまいます

論文の著者は、このメカニズムとして考えられる説に言及しています。著者たちは以前の研究(英語リンク)で、硝酸塩の吸収が耐糖能を短期的に改善させることに触れています。そして、マウスウォッシュを使うと、この効果が無効になってしまうのです。また、別の研究(英語リンク)では、硝酸塩を与えると、遺伝子組み換えマウスでメタボリックシンドロームの発症が防がれたことが示されています。これらの結果は、一酸化窒素がグルコース-インシュリンダイナミクス、微小血管の血流調整、ミトコンドリアの機能、糖新生、そして抗炎症物質の産生に関わっていることに関係があります。

硝酸塩を豊富に含む食べ物、ビーツ

ビーツは硝酸塩を最も多く含む食べ物です。一般的に、サラダやフルーツ、野菜は硝酸塩の摂取源となりますが、その量はそれぞれ大きく異なります(関連研究を見る)。

ビーツは近年スポーツの世界で注目されるようになっています(関連記事を見る)。ビーツは持久系のスポーツにおいてパフォーマンス向上に影響を与えるとされており、過去10年で多くの研究が行われてきました。そのため、硝酸塩を加えたり、ビーツの濃縮ジュースを使った、硝酸塩を多く含む製品がいくつも開発されました。これらの製品は糖尿病を予防したいと考えている人にとって選択肢となるでしょう。特に、硝酸塩の豊富な食べ物を十分たくさん食べるのが難しい人にとっては良い選択肢となります。

しかし、1日に通常のビーツのジュースを1杯飲むだけで血圧を下げられるとする研究も複数あります(関連研究を見る)。高血圧は一般的に糖尿病のリスク増加の懸念をもたらします。つまり、ビーツは高血圧の人々にも恩恵をもたらすのです。ビーツや他の硝酸塩が豊富な食べ物が糖尿病の予防に役立つとしても、どれほどの量が必要なのかに関してはより深く調査する必要があります。

 

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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