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2020-01-27 16:02
by Lisa Keilhofer
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マリファナとマイクロバイオーム、多発性硬化症治療

多発性硬化症のマリファナ治療
多発性硬化症のマリファナ治療 © stock.adobe.com – 1STunningART

2019年12月末、「サイコロジートゥデイ」誌はゲイリー・L・ウェンク博士によるMS(多発性硬化症)患者のマリファナ治療に関する記事(英語)を公開しました。ウェンク博士は、二つのカンナビノイド、THCとCBCの相互作用に着目しています。

多発性硬化症とマリファナ治療- EAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)試験の結果が一つの判断に

MS治療に対するカンナビノイドの効果は目新しいものではありません。20年前には、多発性硬化症の典型的な症状である振戦、痙縮、麻痺などに対するカンナビノイドの緩和効果が知られていました。動物実験では、EAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)によって研究がさらに進みました。EAEはMSの典型的な症状を人為的に作り出したもので、効果的な治療法を研究するために使われました。その結果、カンナビノイドの強制栄養後にEAE症状の緩和効果があったことが報告されたのです。

多発性硬化症治療にマリファナを用いる可能性

多くの患者、MSだけでなく他の精神疾患や神経疾患の患者が、医療用大麻を必要としており、合法化を求めています。ウェンク博士は著作の中で、THC (ウィキペディア)CBD(サイコロジートゥデイ、英語)を併用したマウス実験で、非常に良い結果が得られたことを報告しています。この研究に参加した科学者たちは、これら二つのカンナビノイドの相互作用と非常に良い治療結果には関連があることを強調しています。

マリファナは多発性硬化症治療にどのような効果があるのですか?

MS治療で良い結果が得られた理由として、科学者たちはこれらのカンナビノイドが消化管マイクロバイオームに良い影響を与えることを挙げています。MS患者のマイクロバイオームは傷ついており、アッカーマンシア・ムシニフィラという細菌の増加が見られます。カンナビノイドの強制栄養はこの細菌の数を調整し、症状を改善させます。また、酪酸塩などの短鎖脂肪の増加という良い副作用も報告されています。短鎖脂肪酸は患者に抗炎症効果をもたらす物質です。

MS患者の治療は通常は免疫反応の抑制に重点を置いていますが、治療の成功率はわずか20~30%です。従って、医療用大麻の使用はMS患者にとって合理的であると考えられ、さらなる研究が求められています。

マリファナはMS患者を救うのでしょうか?ウェンク博士たちは明確に結論を出すには控えめな態度を維持しています。博士たちはTHCとCBDを組み合わせた場合にのみ、良い影響が認められたことを強調しています。カンナビノイドを医薬品として使用する場合、その他の化学物質(天然成分のものも含めて)と同様、過剰使用のリスクがあります。薬剤の効果は、年齢、体重、身長、性別、そして薬剤に対する感受性と様々な要因と関連します。そのため、投薬管理のない自己服用は避けるべきです。しかし、マリファナはMS患者が将来に希望を持てる薬剤として興味深い物質であることが分かってきているのは事実です。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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