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2020-05-28 10:40
by Lisa Keilhofer
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動物飼料には未だに多くの抗生物質が使われています

予測される危険の半分は回避可能?
予測される危険の半分は回避可能? (画像: © Bits and Splits – stock.adobe.com)

2018年11月、Bayerische Rundfunkという雑誌で、動物飼料における抗生物質使用の問題が取り上げられました。特に、「最後の手段」と言われる抗生物質の使用が非常に大きな問題とされています。最後の手段となる抗生物質は、医療分野では使用が厳重に制限されています。薬剤耐性菌の発達を防ぎ、最後の手段となる抗生物質を文字通り、生命に関わる症例のために最後の手段として維持できるよう努力が払われています。食品生産、特に食肉生産で最後の手段となる抗生物質を使うことは、医療分野での努力を台無しにするものであり、薬剤耐性菌を生み出し、緊急時の抗生物質を無効なものにしてしまいます(この問題については、「最後の手段となる抗生物質の、畜産物への使用を厳しく規制する必要性」の記事もご覧ください)。

予測される危険の半分は回避可能?

過去の記事ではEUがこの問題を認識し、法律の整備を進めているという状況について述べて締め括りました。この記事は2018年11月に公開しているので、すでに1年以上が経過していることになります。残念ながら、人々は問題をそのままにする傾向があります。「問題があることは分かった。誰かがすぐに解決してくれるだろう」というわけです。最近公開されたSüddeutsche Zeitung紙の記事(ドイツ語)は、再び食肉生産における抗生物質使用の問題を取り上げました。

食肉業での抗生物質使用の問題を取り上げてからどんな動きがあったのでしょうか?

記事の中で、ドイツの連邦参議院に提案された立法案について紹介されていることが印象的です。問題の存在について認識し、対応し始めてから1年以上経過しても、何の成果も得られなかったのです。確かに、現在、法改正の提案が議論されています。消費者保護団体であるジャーマン・ウォッチはこの状況を批判的に見ており、緑の党に働きかけました。記事は緑の党フリードリヒ・オステンドルフ氏 の「単純に言って、法改正の提案は薬剤耐性菌の発生を効果的に防ぐには適していない」という言葉を引用しています。

また、食料・農業大臣は、法案に直接的な効果はないものの、家畜所有者の書類様式をより簡便にできると述べています。要は、最後の手段となる抗生物質の使用を減らす手段は「第二段階」でようやく計画されているのです。2018年に発表されたEU法では、2022年までに最終的な解決を期待するとしており、ドイツはそれまで待たなければいけません。

消費者はどうすべきなのでしょうか?

この失望させるような動きから、二つの結論を導き出せます。一つ目は、1年以上の間、最後の手段となる抗生物質を使うことの問題を認識しておきながら、これまでと同じように抗生物質が使い続けられ、ようやく行われた法律の提案は、抗生物質の使用を規制するための予備的な段階でしかなかったということです。実効性のある法律が最終的に制定されるかどうか、制定されるとしたらいつなのかは、現時点では仮定の話でしかないのです。消費者の方は、問題の存在が認識されているのだから、有効な解決策がすぐに取られるだろうとは信じない方が良いでしょう。消費者である私たちは、対策が遅れていることをしっかり認識し、問題に対して迅速な対応が取られるとは思わない方が良いです。

二つ目の結論はもっと重要です。これは最初の記事で述べたのと同じ結論になります。私たちは法律による規制を信用することはできず、したがって他の手段、消費者自身の行動によって変化を求めなければいけないということです。安価な食肉をこれ以上求めないのであれば、私たちの提案は短期間で実現されます。私たちは消費者の方々に協力を求めたいと思います。食用肉を割引で買う事を求めるのではなく、地元の生産者や肉屋さんから品質の良い肉を買うようにしてください。そうすれば、私たちの健康に良いだけではなく、地元の食肉業の方々の仕事に感謝を示すこともできます。このような選択を行うことで、複雑な法律よりももっと大きなプレッシャーを食肉製造業者に与えることができます。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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