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2020-08-19 20:27
by Lisa Keilhofer
  Last edited:

プロバイオティクス – 大きな潜在的メリットとリスク

プロバイオティクス
プロバイオティクスが安全というのは本当でしょうか?(画像: © Andrii Zastrozhnov – stock.adobe.com)

製薬業界はプロバイオティクスという新しい製品を手にしました。私たちはすでに製薬会社のマーケティング戦略によって大きな影響を受けています。その証拠をお見せしましょう。ヒアルロン酸や抗酸化剤、L・カゼイ培地というキーワードを聞いたことはないでしょうか。また、それらが持つ特別な効果についても聞いたことはないでしょうか。仮に聞いたことがなかったとしても、何かしらの効果があるとされる物質がヨーグルトに入っているならば、とりあえず試してみるのは良いのでしょうか?

今回の記事では、あまり良くは知られていないプロバイオティクスの実態をまとめます。最初に書きますが、プロバイオティクスは体に良く、さまざまな形で健康を支えてくれます。ですが、多くの場合、プロバイオティクス製品を利用してもお金の無駄になってしまっており、有害な影響があることさえあります。

プロバイオティクスの定義

FAO (国連食糧農業機関)とWHO (世界保健機構) はプロバイオティクスに関して共通の定義を決める必要がありました。このことは、プロバイオティクスの問題の複雑さと混乱を示しています。2001年に決められた定義が、国際プロバイオティクス-プレバイオティクス学術機関(ISAPP)によって2013年に承認されました。その定義によれば、プロバイオティクスとは、「適切な容量で使用されたときに、ホスト(宿主)の健康に益する生きた微生物」 です。したがって、ヨーグルトの中にはプロバイオティクス食品と名付けられるものもありますが、この定義に従えばプロバイオティクス(生きた微生物を含むもの)ではありません。 意図的に含まれたプロバイオティクス細菌の属、種、株が分類でき、その効果が科学的に確認できる場合にのみ、プロバイオティクスと言えるのです。

>>> 詳細は「プロバイオティクスとプレバイオティクス」の記事をご覧ください。

プロバイオティクスのメリット

細かい定義までは知らないけど、プロバイオティクスが食べ物に含まれる生きた微生物であることは理解している一般的な消費者の方向けに説明します。正確には、プロバイオティクスにはどんな効果があるのでしょうか?(「健康に良い」という表現は全く答えになっていません!)。実は、まだ正確な答えは分かっていません。現在言えることは、いくつかの点で健康に有益だということです。

プロバイオティクスは、マイクロバイオームを安定させることで、腸内フローラを変化させます。腸内フローラの変化は、代謝物質や、抗菌物質による特定の病原菌の排除によって起こります。このときプロバイオティクス細菌は外へ排除されます。そして、この効果を持続させるためには、プロバイオティクス製品を定期的に摂取する必要があります。

>>> マイクロバイオームに良い食べ物

プロバイオティクスは健康に害はないですか?

現時点では答えは明確です。プロバイオティクスとして食品にカプセルの形で添加されたり、直接添加される微生物の培地に関して言えば、それらは腸の健康を強化してくれるということができます。つまり、健康に害はないです。

CNNの番組で次のような警告が行われました。プロバイオティクスはほとんど効果のない誇大広告だと(英語)。アメリカは世界で最も多くのプロバイオティクスが消費されている国です。2007年から2015年の間に、消費数は4倍になりました。アメリカとヨーロッパではプロバイオティクスが市販されています。少なくとも薬局に行けば、プロバイオティクスを手に入れることができます。または、購入に制約のないスーパーマーケットで購入するという方法もあります。CNNによれば、まさにこの点に危険が内在しているのです。

プロバイオティクスが私たちのマイクロバイオームの微生物にとって有益なのは明らかです。ですが、全ての問題を解決するプロバイオティクスは存在しません。事実、ほとんどの「プロバイオティクス」製品には全く効果がありません。それらは適応症なしで使われ、一定の効果すら示しません。ISAPPの定義によれば、そもそもプロバイオティクスとして認められない場合もあります。

プロバイオティクスに効果は認められているのですか?

Probiotics
一部のプロバイオティクスのみ効果が認められています。従って、効果のあるものを選ぶのは消費者の選択にかかっています(画像: © Andrii Zastrozhnov – stock.adobe.com)

数多くの製品が「プロバイオティクス」を自称しており(もちろん、その名前は誤っているのですが、誰も気にはしていません)、医学的なアドバイスもなしに市販されています。特定の治療目的のためにどのプロバイオティクス製品を選ぶかは、完全に消費者の選択に委ねられているのです。記事の最初の目的に戻ることにしましょう。たくさんあるプロバイオティクス製品の中から、ある一つを健康に良さそうだからという理由で選んで購入したとしましょう。

購入した方は間違ったものを買ってしまったと少しでも感じるでしょうか?ほとんど場合、摂取したとしても何の害もない代わりに、何のメリットもない製品にお金を費やすことになります。プロバイオティクスには大きな効果があると考えられているのに、これは悲しい現実です。

プロバイオティクスに期待される効果

CNNの記事が言及しているワシントン大学の研究によれば、プロバイオティクスは正しいものを選べば、有益な補助食品となります。正しい選択をするためには、プロバイオティクスの細菌株を正確に知り、治療目的のために適切なものを選ぶ必要があります。従って、適切なプロバイオティクスを選ぶために、私たちは自分のマイクロバイオームを正確に把握し、何が不足しているのかを知り、プロバイオティクスの利用時に重視する必要があります。

市販されている製品の成分表示は役立ちません。多くの表示は曖昧だからです。セルフ・メディケーションや自己判断による服薬も多くは成功しません。正しい医学的監督の元で、臨床的に正確な細菌株を適切な量で、さらに胃の酸性環境にも耐えられるサプリメントの形態で用いることで、初めてプロバイオティクスは顕著な効果を示すのです。

プロバイオティクスの中には未熟児の助けとなるものもあります。また、クロストリジウム・ディフィシルの感染予防にも、プロバイオティクスが有効であることが証明されました。また、クロストリジウム・ディフィシルに感染した後も、プロバイオティクスに基づいた治療は目覚ましい成功を示しています。クローン病や潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群に対しても同様です。

プロバイオティクスの使用で起こりえる最悪のシナリオは何ですか?

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とても興味深いのは、複数の研究が、米国の子供の下痢を伴う胃腸炎では、プロバイオティクスの使用を避けるべきだと指摘していることです。一方で、別の研究は、下痢を起こした発展途上国の子供にプロバイオティクスを与えると、病気の期間が短くなることを示しています。これらの一見矛盾する結果は、患者のマイクロバイオームの状態を把握し、それに応じて細菌株を選ぶことの重要性を示唆しています。

プロバイオティクスの代表的な研究者の一人は、プロバイオティクスとして非常に有効な細菌株が複数存在しており、プロバイオティクスの活用を放棄すべきではないと述べています。同時に、誤ったプロバイオティクス治療が感染症を引き起こす点も考慮すべきです。プロバイオティクスは生きた微生物を扱います。最悪のシナリオは、生きた微生物が血管の中に入り込み、敗血症を引き起こすことです。

プロバイオティクスに関して喜ぶべきニュースもあります

読者の方の中には、毎日プロバイオティクスを利用しても別に悪いことではなく、最悪の場合でも何も効果がないだけだと思っているのではないでしょうか。本当のことを知るべきです。市場には、科学的な定義に当てはまらない自称プロバイオティクスが溢れています。または、消費者自身が生きた微生物を不注意に扱えば、体内に侵入させてしまうリスクを冒す可能性もあります。

マイクロバイオームフレンドリー認証シール幸運にも、「マイクロバイオーム・フレンドリー」シールは成功をおさめました。複数の独立した試験において、プロバイオティクスは「成功をおさめた」ことが示されました。研究室では、正確な細菌株を特定したり、有効量を調べる試験や、効果そのものを検証する臨床試験が行われています。そして、マイクロバイオーム・フレンドリー認証シールは、プロバイオティクスが胃の酸性環境に耐え、腸内で作用する生きた細菌であることを保証します。

これらのプロセスを経てはじめて、プロバイオティクスは安心して利用できる効果的な治療となります。

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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