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2020-07-28 11:04
by Lisa Keilhofer
  Last edited:

体の内側だけが大事なのではありません – 体の外側(皮膚)にも注目しなければいけない理由

私たちの皮膚
人間の皮膚 – 驚異的な覆いです (画像: © photo_pw – stock.adobe.com)

私たちは読者の方に GEO誌 (2020年6月、GEO kompakt 59号、ドイツ語)の記事に関心を持ってもらいたいと思っています。記事は「初学者」のためにマイクロバイオーム研究の素晴らしい要約を提供してくれます。また、この分野が現在どれだけ進展したかも示してくれます。

特に、ユテ・エベーレ氏の「驚異的な覆い」という記事に注目したいと思います。この記事は、肌の外皮について論じた8ページと、さまざまな興味深い内容を扱ったインタビューの4ページで構成されています。以下が記事の要約です。

皮膚は一般に考えられている以上の役割を果たしています

一般に、皮膚の役割は低く評価されており、私たちはそのことを当たり前のこととして考えています。論文の著者は、この理由は人々が体の外側の部分よりも内側に注目しているからだと考えています。多くの人々が、皮膚は臓器の一部であり、それも最も大きな臓器であるということを知りません。成人の皮膚は1.5~2qmになり、骨格よりも重量があります。20%の皮膚が失われると、人間は死んでしまいます。皮膚に注目することはとても重要なのです!

皮膚の構造と機能

人間の皮膚は三つの層から構成されています。皮下、真皮、そして表皮ないし上皮です。最も深い層(皮下)は隔離のためにあります。皮下脂肪は体が体温を保持し、過剰な熱を持つのを防いでくれます。また、エネルギーを貯蔵し、外部からの衝撃を和らげるという役割もあります。中間層(真皮)は動脈や静脈、汗腺や皮脂腺が通っています。神経細胞も存在しています。つまり、温度や痛みを感じる機能を持っているのです。脳が真皮から受け取り続ける情報は、人間の生存に関わるのです。皮膚に接触したものは鋭いのかそうでないのか、どんな物体や表面なのか、また危険なものや熱いもの、ケガをするものなのかどうか。これらの判断は、皮膚の感覚器が提供する情報に基づいて無意識に一瞬で決定されます。

しかし、皮膚の役割はダメージを回避するだけではありません。ちょっとした順応によって、座る場所や通り道、物体の角などで私たち自身の重量を感じることで、自分が「私」であり、残りの世界が「外部」であることを認識させてくれます。これは全て皮膚のおかげなのです!

上肌ないし表皮はこの巨大な情報センターの覆いであり、危険な紫外線から守り、体温と水分量の保持を手助けします。私たちの体を覆う真皮は、実際には「私たち」そのものでありません。正確に言うと、私たちの皮膚マイクロバイオームなのです。

細菌は皮膚のシステムの重要な一部です

長年、細菌は接触が避けられないものの、有害で排除すべき存在だと考えられていました。現在では、私たちはこの小さな友人とその代謝物の重要性を理解しており、さらにそれらは皮膚のあらゆる機能の重要な要素であるということも知っています。ある試験結果によれば、複数の微生物の生成する物質が、病原菌の発生を防ぐことを示しています。

>>> 詳細は「ウイルス感染からマイクロバイオームがあなたを守ってくれます!」の記事をご覧ください。

私たちの体に存在する典型的な(そして理想的な)細菌の種類は、体の各部分で特徴的です。放線菌やフィルミクテス、プロテオバクテリア、バクテロイデスは腕や脚の乾いた部分に生息しています。湿った部分(脇やおへそ)にはコリネバクテリウムやブドウ球菌が生息しています。額や鼻、背中などの脂ぎった部分は、プロピオニバクテリウムの住処です。

>>> 詳細は「体のいろいろな場所のマイクロバイオーム」の記事をご覧ください。

皮膚は触れられることを望んでいます

人間の肌は衣服や床、椅子などと絶えず接触しています。気温が低く湿っているか、または暖かく乾燥しているかを、何かまたは誰かと接触することで感じ取るのです。エベーレ氏によれば、特に人との接触の重要性はとても興味深いものです。人との触れ合いは低く評価されるべきではありません。妊娠初期8週目において、胚は母体の人との接触に反応します。そして、私たちは人の体の触れ合いによる刺激を、生涯ずっと必要とするのです。もし、人間同士の接触がなければ(コロナウイルスのパンデミックが引き起こした事態を考えれば分かりますが)、私たちの幸福は失われてしまいます。肌の触れ合いがなければ血圧、心拍数、ストレスレベルも上昇してしまいます。人間同士の接触の欠如は、身体的な不快につながるのです。

スキンケア製品などのクリームを塗ることは皮膚を攻撃するようなことです

もちろん、化粧品や美容業界はこのことをすでに理解しています。良い製品を使えば、クリームは良い効果をもたらしてくれます。香りのついたシャワージェルであれ、ハンドローションやリッチ・フェイスクリームであれ、良い製品は良い効果をもたらします。皮膚はポジティブな反応を示すでしょう。

ですが、私たちの肌を守っている数百万の細菌はスキンケア製品に対してどのように反応するでしょうか?多くの場合、触れ合いはスキンケア製品に含まれる物質よりも良い効果をもたらします。健全な皮膚マイクロバイオームはスキンケア製品を必要としません。ですが、不幸にも、今日では人々の多くは理想的な環境に生きていません。私たちは肌を乾燥させる空調の効いた暖かい部屋に住み、肌に化学的・機械的な影響を及ぼす微粒子や塵に直面しています。また、現代人の仕事は空気を遮断する靴を履いたり、1時間に何度も手を消毒することを求めます。そして、さらに、思春期には、額のにきびを完全に予防するのが難しくなります。長い話を簡潔にまとめましょう。現代人はスキンケアのために定期的なクリームの使用を避けることはできません。

マイクロバイオームを守る

従って、細菌の多様性と皮膚を守るスキンケア製品を選ぶことがとても重要です。そのためには、「マイクロバイオーム・フレンドリー」のシールが貼られた商品を購入するようにしましょう。皮膚の健康に関して、体の内部だけが問題ではないからです!

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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