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2020-03-26 19:04
by Kristin Neumann
  Last edited:

ウイルス感染からマイクロバイオームがあなたを守ってくれます!

マイクロバイオームがあなたを守ってくれます!
マイクロバイオームがあなたを守ってくれます! (画像: © eduardrobert – stock.adobe.com)

マイクロバイオームは免疫系にとってとても重要な存在です。マイクロバイオームが健全であることは、健康全般に不可欠です。そして、現在世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスのパンデミックから、マイクロバイオームと免疫系の相関関係が、健康上のさまざまな問題に関わっていることが改めて認識されました。マイクロバイオームは人間をウイルス感染から守ってくれるのでしょうか?答えは、イエスです!

健全なマイクロバイオームは人間の免疫系を強化します。アメリカのミシガン州の研究者たちは呼吸器のマイクロバイオームとウイルス感染の関係(インフルエンザの事例)を詳細に研究しました。実際、マウスや人間を対象とした先行研究では、肺マイクロバイオームがウイルス感染の起こりやすさに影響を及ぼしていることが分かっています。例えば、ある研究では、マウスに抗生物質を投与すると気管支上皮が傷つき、重度のウイルス感染を起こしやすくなることが分かっています。

新生児を対象とした研究では、子供にプレバイオティクスやプロバイオティクスを与えると、呼吸器のウイルス感染症の罹患が減ることが繰り返し示されています。

呼吸器感染を起こすウイルスが人間の体と最初に接触する箇所は、通常は上気道と下気道です。これらの気道はフィルムのような複雑な細菌群によって覆われていて、侵入してきたウイルスと直接的または間接的に相互作用します。そして、人間の体内で共生しているマイクロバイオームは免疫系にシグナルを送り、免疫系は受け取ったシグナルに応じて反応します。また、ウイルス感染はマイクロバイオームの細菌の構成を変化させます。

ある研究(英語)では、人間の呼吸器マイクロバイオームとインフルエンザ感染リスクの相関関係を初めて調査しました。144の家庭から717名の参加者を集め、13日間で5回に渡って調査を行っています。そして、調査したマイクロバイオームを5つのグループに分類しました。この分類により、鼻咽頭のマイクロバイオームの構成は年齢によることが分かりました。一般的に、参加者のうち若者のマイクロバイオームは高齢者のものよりも安定性が低く、よりインフルエンザウイルスに感染しやすい傾向がありました。

マイクロバイオームの細菌の構成とインフルエンザ感染の起きやすさには関連がありますが、例えばマイクロバイオームの多様性に関して違いはありませんでした。より正確なメカニズムを把握するためには、さらなる研究が必要です。それでも、先行研究を見れば、マイクロバイオームが傷ついていると、ウイルスに感染しやすくなることが分かります。さらに、ウイルス感染はマイクロバイオームを変化させ、多くの場合にブドウ球菌やレンサ球菌の二次感染を引き起こしています。

これら一連の研究結果は、ワクチン開発も含めたマイクロバイオームの治療によってウイルスの呼吸器感染リスクを減らすための、将来の研究へのインセンティブとなります。

新しい治療法が確立されるまでは、さまざまな食事(できれば缶詰以外のもの)や、空気のきれいな場所での運動(Covid-19の感染リスクが低い森の中など)でマイクロバイオームをケアして守ってあげましょう。そして、パニックになって殺菌剤を撒くのではなく、手をしっかり洗うようにしましょう。

喫煙や抗菌成分を含むマウスウォッシュは、呼吸器マイクロバイオームに特に有害です。詳しくは、「お口をケアしましょう! 口内マイクロバイオームを理解し、正しくケアする」の記事をご覧になってください。

生活が厳しく制限された状況ではありますが、皆様の健康を祈っています!

クリスティン・ノイマン博士, 著者
クリスティン・ノイマン博士
著者

みなさん、こんにちは。微生物学者のクリスティン・ノイマンです。生命の仕組みに興味があり、分子生物学を学びました。…

ファビアン・ガイヤー, 特別寄稿者
ファビアン・ガイヤー
特別寄稿者

ファビアン・ガイヤー氏から素晴らしい特別寄稿を頂きました。
ガイヤー氏はBIOMES社コミュニケーション・チームの一員です。BIOMES社はベルリンを拠点とするバイオ企業で、一般と専門家向けのマイクロバイオーム解析を専門としています。
ガイヤー氏は熟練の「翻訳者」として、人間と細菌の仲を取り持ちます。人間と細菌の関係は長年大きく誤解されていました。

リサ・カイルホーファー, 著者
リサ・カイルホーファー
著者

レーゲンスブルク大学で学びました。
多言語化業務に携わり、フリーランスの編集者としても活躍しています。

キャラ・コーラー
キャラ・コーラー
著者

シカゴのデポール大学とドイツのバンベルク大学で学位を取得し、現在博士号取得候補者となっています。
また、フリーランスの独英翻訳者、英独コピーエディターとしても活躍しています。

インゲ・リンドセット
インゲ・リンドセット
登録栄養士

オスロ大学のインゲ・リンドセットは登録栄養士で、専門分野は糖尿病と肥満、運動療法です。エクササイズの効果を最大限に高めたり、スポーツで最高のパフォーマンスを上げるための研究を行っています。
インゲ・リンドセットについて(ノルウェー語)

マリア・ペトロヴァ博士
マリア・ペトロヴァ博士
寄稿著者

マリア博士はヒトマイクロバイオームの分野で世界的に著名な研究者です。泌尿生殖器の細菌叢とプロバイオティクスを研究しています。ベルギーのルーベン・カトリック大学とアントワープ大学で乳酸桿菌と病原菌・ウイルスの分子相互作用を研究し、博士号を取得しました。博士の大きな業績は、ポスドクフェローのときに行った乳酸桿菌の遺伝的、分子的、機能的特性の研究です。この研究によって、膣内環境下での乳酸桿菌の働きについて素晴らしい知見を得ました。
マリア・ペトロヴァ博士について(英語)

ヨハンナ・ギルブロ博士
ヨハンナ・ギルブロ博士
寄稿著者

ヨハンナ・ギルブロ博士は受賞歴のある皮ふの専門家で、ベストセラーとなった『Skin We’re In』の著者です。
博士は実験皮ふ病学、臨床研究、そしてスキンケア製品開発の分野で15年以上の経験を持っています。また、製薬企業での長い経験を持っています。皮ふ科とコスメティクスの国際会議では、最先端の研究について頻繁に講演を行っています。また、「International Journal of Cosmetic Science」誌で過去10年の間に最も多く引用された研究者でもあります。博士はアンチエイジング成分で複数の特許を取得しており、スキンケア企業でアンチエイジング治療の研究・開発マネージャーを務めています。ギルブロ博士がスキンケア分野のエキスパートであることは言うまでもありません。『Skin We’re In』の執筆が示すように、現在は私たちのような一般人に知識を伝えることを使命としています。
2019年4月の出版の以来、『Skin We’re In』は主要な販売店でベストセラーとなっています。現在、スウェーデン語版のみが刊行されています。
https://www.skinomeproject.com

ディミトリ・アレクセーエフ博士
ディミトリ・アレクセーエフ博士
寄稿著者

ディミトリ・アレクセーエフ博士は消化管マイクロバイオーム、分子生物学、バイオインフォティクス、栄養学分野の優れた研究者です。基礎研究の臨床への応用に情熱的に取り組んでいます。Atlas Biomedグループでの主な役割は、社内外の科学プロジェクトを発展させることです。博士が携わっているプロジェクトは、栄養や神経変性疾患、炎症やがんに対するマイクロバイオームの応用、英国医薬品・医療製品規制庁の承認など多岐にわたります。Atlas Biomedグループでの統合的な役割に加え、ディミトリ博士は現在サンクトペテルブルクITMO大学で助教授を務め、健康のためのアルゴリズム開発を行っています。今後、博士はオランダのフローニンゲン大学医療センター(UMCG)に移り、老化研究に携わることになっています。
ディミトリ博士について(英語)

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