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2019年10月31日

マイクロバイオームのクラウドファンディング – あなたも研究に参加しましょう!

マイクロバイオームのクラウドファンディング – あなたも研究に参加しましょう!

IBMコーポレートシチズンシップが開始したプロジェクトに、現在およそ65万人の個人と460の機関が参加しています。
IBMコーポレートシチズンシップが開始したプロジェクトに、現在およそ65万人の個人と460の機関が参加しています。

マイクロバイオーム研究はここ数年で急速な進展を見せてきました。特に、消化管マイクロバイオームの解読は現代的なシークエンシング技術によって大きく進んでいます。対照的に、皮ふマイクロバイオームの研究はまだ始まったばかりです(「スキンケアには生きた細菌と死んだ細菌のどちらが良い?」の記事参照)。肺マイクロバイオームの研究についても同様です。ヒトマイクロバイオームの研究は宇宙の探索を行うようなものだと感じる人もいるかもしれません。全部で300兆(兆の単位です!)の細菌が人間の体に住んでいることを考えるなら、この比較は適切なものだと言えます。

人間の体の中の魅力的な宇宙を探索しましょう!

優れたシークエンシング技術を用いた無数の細菌の研究は、計り知れないほど大きなプロジェクトです。しかし、シークエンシングはやるべき価値のある仕事です。これまでに分かっているように、ほとんどの細菌は人間にとって友人だと言えるからです。細菌たちは免疫系を活性化し、人間の活動を高めてくれます。私たちは同時に、遺伝的素因やマイクロバイオームを傷つける有害物質が、クローン病などの病気を発症させることを知っています。

私たちは健康な食事を行い、動物たちと十分に接触する機会がある、自然に近い生活が人間のマイクロバイオームにとって最良であるということも知っています。また、現代の生活様式はマイクロバイオームにとっては良くない環境で、早急に科学の力で対策しなければいけないこと(利用可能なマイクロバイオームの回復手段に頼らなければいけないこと)を知っています。

21世紀になってようやく解決策が見出されました。それはいわゆるスーパーコンピューターです。スーパーコンピューターはメインメモリーを共有することで、多くのプロセッサによって膨大な処理パワーを実現しています。

ワールド・コミュニティー・グリッドの一員になりましょう!

この記事を書いた目的の一つは、読者の方にワールド・コミュニティー・グリッドへの参加に興味を持ってもらうことです。ワールド・コミュニティー・グリッドはとても魅力的なプロジェクトです。

その理念は、多くの人々(また企業などの団体)に余っているコンピューターの処理パワーを提供してもらい、膨大な処理パワーを必要とするスーパーコンピューターの稼働に参加してもらうことにあります。このプロジェクトは2004年にIBMコーポレートシチズンシップが開始し、現在およそ65万人の個人と460の団体が参加しています。現在までに、30を超える科学研究プロジェクトを支援しており、HIV/エイズやがんの研究もサポートしています。

そして、マイクロバイオーム研究へのサポートも行われています。わずか6ヶ月の間に、数多くの支援者が提供した処理パワーのおかげで、20万以上のタンパク質の構造が解読されています。これは人間のマイクロバイオームで知られているタンパク質構造の3分の1に当たります。このプロジェクトは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロブ・ナイト教授が開始しました。MyMicrobiomeの読者の方によく知られている(例えば、「土や泥で汚れるのは良いこと?過度な衛生が免疫系に及ぼす影響」の記事)ナイト教授は、マイクロバイオーム開発研究チームの中心的人物です。

プロジェクトは現在も進行中で、完了までにもう数年かかるでしょう。プロジェクトの目標はマイクロバイオームのタンパク質構造を解読し、1型糖尿病や炎症性腸疾患などの病気をより理解することです。類似した構造に基づいて、タンパク質はいわゆる「ファミリー」に分類されます。ひとつの「ファミリーメンバー」を詳細に理解すれば、十分に他の「親類」のタンパク質の構造と機能に関して結論を出すことができます。したがって、1型糖尿病や炎症性腸疾患の研究のために、研究に役立つ「ファミリー」から役立たない「ファミリー」を除外し、重要な要素だけを集中して研究できるのです。

分類を容易にすることは、全ての細菌のゲノムを各々調べるのではなく、いわゆるパンゲノムを調べることを意味します。全ての細菌株にゲノムがあります。科学の研究は非常に高速化されたコンピューターの力を借りることで、非常に早く進みます。

個人の持つコンピューターの小さな処理パワーで地球を救うことができるのですか?

ワールド・コミュニティー・グリッドの基本原則は、クラウド・ファンディングのものと似ています。1台のコンピューターのキャパシティーは、膨大な容量のデータを扱えばすぐに限界が来てしまいます。しかし、数十万台のコンピューターが一つのスーパーコンピューターをサポートすれば、プロジェクトの完了に十分に大きな処理パワーが得られます。

もし、あなたのコンピューターの持つ小さなデータ処理能力では意味がないと思うなら、現在のスマートフォンは人類が最初に月に着陸したときに使われたコンピューターよりも性能が良いということを考えてみてください。そして、人々が持つコンピューターやスマートフォンのデータ処理能力が完全に使われていることはほとんどないのです。従って、私たちはこのプロジェクトに寄与するには十分な以上のデータ処理能力を持っているのです。そして、最も素晴らしいことは、寄付したお金が戻ってこないクラウド・ファンディングとは異なり、提供した処理パワーは無くなってしまわないことです。あなたはコンピューターの使っていない処理能力を一時的にシェアするだけです。月面着陸の計算を行うために大きな処理能力を必要とする場合はいつでも、全を使うことができます。小さな力で地球を救えるのなら、参加しない理由はありません!

2019年10月24日

uBiome社の起こした問題:事業が完全停止に

uBiome社の起こした問題:事業が完全停止に

uBiome社の起こした問題:事業が完全停止に
残念なことになりました。糞便サンプルを用いたマイクロバイオームテストキットを販売していたUbiome社が閉鎖となりました、画像: © iridi66 – stock.adobe.com

MyMicrobiomeでは糞便サンプルの分析によって自分のマイクロバイオームを調べることができる、消化管マイクロバイオームのテストキットを紹介しました。一般にも購入可能な複数の製品を詳細に調査し、どの製品が最も信頼できるか調査を行い記事にしています。

マイクロバイオームのテストキットを販売した先駆者がアメリカのuBiome社でした。MyMicrobiomeで各社のテストキットのレビューを行ったとき、私たちはuBiome社にも参加の可否を尋ねる質問票を送っています。しかし、現在問題となっていることが理由で、同社からは否定的な返事が返ってきました。また、uBiome社はある記事の中で皮ふマイクロバイオームに関してL’real社との共同研究を計画していると言及しました。このことはMyMicrobiomeでも「化粧品業界が皮ふマイクロバイオームに注目しています」の記事で詳細に解説しています。uBiome社が私たちのテストキットの製品レビューに参加していないとしても、同社はマイクロバイオームの業界では依然重要な企業だったのです。

激しい批判に直面するuBiome社

2019年4月、uBiome社はFBIから激しい批判を受けました(Businessinsiderの記事、英語)。共同創立者・CEOのジェシカ・リッチマンと50人の社員は通知があるまで休職状態となっています。また、uBiome社はスマート・ジェーンとスマート・ガットの二つのテストキット販売を停止しました。捜査はuBiome社の支払い請求に集中しています。ウォールストリートジャーナルとCNBCによれば、uBIome社は購入者に二重請求をしていたとされています(参考リンク、ウォールストリートジャーナルCNBC)。また、uBiome社と処方を行っていた医師の不適切な関係も発覚しています。同社の他の製品はまだ販売中です。現在のところ、問題となっているスマート・ジェーンとスマート・ガットの二つの製品だけです。

さらに、糞便サンプルの分析でも、取り扱いが適切でなかったことが分かっています。比較サンプルの中に幼児や子供、マウスのサンプルすら混入していたのです。比較に不適切なサンプルに含まれる、明らかに異質な内容物はテストの結果を大きく狂わせます。例えば、幼児の糞便には母乳由来の細菌がとても多く含まれています(Fiercebiotech.com)。

私たちがこのニュースを知っておかなければいけない理由

uBiome社の問題について、読者の方に詳細にお伝えしました。しかし、記事の公開には躊躇いもありました。というのも、当初はuBIome社の二重請求の問題だけが批判されており、マイクロバイオーム研究やデータの収集に関しては批判の対象とはなっていなかったからです。uBiome社のCFOと一部の関係者だけが問題に関わっていました。また、MyMicrobiomeではuBiome社の製品をレビューしてはいませんでした。そのため、この問題はMyMicrobiomeの読者の方には関係がないと思えたのです。

しかし、現在、uBiome社のマイクロバイオーム研究にも批判が拡大しているのは明らかです。私たちはこのことを読者の方に伝えなければいけないと感じています。そして、2019年7月、uBiome社は事業の完全停止を命じられました。

批判は請求や財政の問題だけでなく、製品の品質にも向けられるようになっています。私たちはuBiome社の問題が他のマイクロバイオームテストキットを開発・製造している企業や、マイクロバイオームの検査そのものに悪い影響を与えないことを願っています。テストキットなどの製品やサービスについては、MyMicrobiomeや他の第三者が厳しく精査する必要があります。テストキットに関しては、オープンソースのデータベースで公開されています(もちろん、個人情報は匿名化されています)。マイクロバイオームの検査を行った人は自身のマイクロバイオームが持つ細菌の構成について知ることができるだけでなく、マイクロバイオーム研究全般にも貢献できるのです(その例のひとつが、アメリカン・ガット・プロジェクトです)。

MyMicrobiomeは、マイクロバイオームテストキットの先駆者であるuBiomeのような企業が悪い先例を残したことを残念に思います。そして、他の企業が素晴らしい科学的業績を成し遂げ続けることを願っています。

2019年10月15日

旅行時に腸の健康を保つための専門家のアドバイス

旅行時に腸の健康を保つための専門家のアドバイス


旅行時に健康を保つために、消化管マイクロバイオームに配慮するのは大切なことです。航空機への搭乗、食べ慣れていない食事、水や気候の違い、時差、そして旅行者を取り巻く細菌やウイルス、これら全ての要素が体にストレスを与え、胃に望ましくない影響を及ぼします。民間の健康関連企業Atlas Biomed社のマイクロバイオーム主任研究者であるディミトリ・アレクセーエフ博士が、休暇旅行中にマイクロバイオームを健康に保つための原則を示してくれました。

問題1:睡眠不足と時差

博士のアドバイス: 食事と睡眠は普段と同じリズムを心がけてください。旅行先の時差が数時間しかないのであれば、概日リズムを乱さないスケジュールの航空チケットを選ぶようにしましょう。時差の大きい遠く離れた国に旅行するのであれば、乗り継ぎ時間が長かったり、複数回乗り継ぐ必要のあるチケットは避けましょう。

遠くの国に旅行したり、深夜便に乗る、あるいはその両方であれば、概日リズムが乱されてしまいます。

概日リズムは人間の体の天然の時計です。体内のあらゆるプロセスに指示を出し、特定の時間における体の機能のオン・オフを切り替えます。マイクロバイオームもこの時計に従います。概日リズムは体の代謝を制御しています。そのおかげで、胃液やインシュリンが食べ物を消化し、エネルギーの貯蔵や利用が可能になっています。また、細胞の維持や修復の調整、睡眠と起床に関わるホルモンの分泌を切り替えに関わっているのは言うまでもありません。概日リズムは太陽の動きや人間の日常生活(多くの人は昼間の時間に活動しています)に基づいた24時間時計に合わせて働いているのです。

アレクセーエフ博士は次のように述べています。「深夜便で睡眠不足になったり、大きな時差があることは、消化器系に大きな影響を及ぼします。消化器系は人が寝ている間に活動を休むという通常のリズムに慣れているからです。消化管の細菌の働きも普段の食事に応じて変わります。毎朝8時にフルーツとナッツを添えたオートミールを食べているのであれば、あなたの細菌は毎朝同じ栄養を期待しています。それが当然、早朝5時に空港で揚げ物を食べたら、消化管とマイクロバイオームが混乱してしまうのは当然です。

問題2:空港と飛行機での食事

博士のアドバイス:飛行機には食べ慣れた食事を持ち込んでください。空港や飛行機で食事をしなければいけないのであれば、サラダを選びましょう。新鮮な果物やナッツなどの健康に良い食品を荷物に加えてください。そして、水をたくさん飲むことを忘れないようにしましょう。

空港や飛行機での食事、そして時差が組み合わさると、非常に大きな影響があります。膨満感や消化器系の問題が引き起こされるのです。空港で購入できる食事のほとんどは、消化器に問題を起こす可能性のある単糖類を多く含んでいます。糖類は日和見な悪玉菌の急速な成長を助け、ガスを増やしたり、下痢の原因となる水分消費量の変化を起こしたりします。空港や飛行機、旅先の外国の食事で糖分量をコントロールするのは難しいため、簡単に推奨量を超えた量の糖分を摂取することになります。そして、消化管の細菌が糖分をたくさん食べ、増殖するのです。

問題 3: 旅先で旅行者を取り巻く細菌とウイルス

旅行中は多くの人々に取り囲まれることになります。そのため、風邪やインフルエンザになったり、他の伝染性のウイルスに感染するリスクが上昇します。旅行者の中には感染を予防するためにマスクをする人もいます。インフルエンザが流行していたり、特別風邪に罹りやすい体質でなければ、マスクをする必要はありません。いくつかの対策を行えば十分です。まず、手をしっかりと洗いましょう。ナガバクコのような殺菌作用のあるエッセンシャルオイルを使うのも良いかもしれません。また、休息をしっかり取り、急激な気温の変化を避けることも重要です。冷房の使用を避け、温かい機内から冷たい外に出るときはジャケットを羽織るようにしましょう。

問題 4: 水分調節

博士のアドバイス: できるだけ動くようにしましょう。飛行機が着陸したら喜んで降りましょう。朝には植物繊維を多く含む食事を食べ、アルコールを避けてください(少なくとも消化が終わるまでは)。

旅行時の免疫系の維持において、水分補給はとても大切です。また、気圧の変化は体の細胞間の水収支を変化させます。フライトの後に体がむくむのはその例です。同様に、消化管の媒質の水分量も多くなります。ポリッジなどの繊維質を多く含む食事が余分な水分の吸収を助け、消化管の過剰な便通を避けてくれます。フライト中のアルコールは水収支を乱す可能性があるので、できれば避けましょう。

また、十分に動けばリンパ系の水分を移動させることができます。そのため、ストレッチや歩行は、特に2時間以上のフライトの場合は不可欠です。できることなら、エスカレーターの代わりに階段を使い、動く歩道の代わりに歩くようにしましょう。

問題5: ストレス

博士のアドバイス:ヘッドフォンや良書、瞑想アプリなど、旅行中のストレスを解消してくれるものは何でも持っていきましょう。ヨーグルトやケフィア、あるいは薬局で買えるプロバイオティクスのサプリなどを使って、消化管マイクロバイオームと乳酸菌を維持し、ストレスの緩和を促してください。

休暇旅行はストレスに満ちています。旅のストレスは大きいため、目的地がフライトよりもずっと素晴らしいものであることを願いたくなります。ストレスは消化管の善玉菌に悪影響を及ぼし、消化を遅らせたり、気分を下げたりします。

身軽に旅行しましょう。これはスーツケースに入れる荷物だけでなく、フライト前は軽い食事にするということも意味しています。一口に食べる量を通常よりも少なくし、肉や脂肪などの重たい食事は避けましょう。

空港に早めに行くようにするのは、渋滞やセキュリティチェックの長い行列を避けるだけでなく、ストレスを避けるという意味でも良い考えです。コルチゾール値を高めることは、乳酸菌を増やすだけでなく、健康全般を維持するために重要なことです。

2019年10月07日

土や泥の汚れの中にいる人間の旧友は、あなたを健康で幸福にしてくれます

土や泥の汚れの中にいる人間の旧友は、あなたを健康で幸福にしてくれます

土や泥の汚れの中にいる人間の旧友
土や泥の汚れの中にいる私たちの旧友、画像: © MNStudio – stock.adobe.

「汚れることは良いこと?」-このタイトルの記事はMyMicrobiomeの中で最もよく読まれ、多くの議論を起こしました。ソーシャルメディアでの高い評価は、この記事の内容が多くの読者にとって大切なものだったことを示しています。そして、2019年5月末には、コロラド大学が土や泥の汚れに触れることが健康に良いことを解説する記事を公開しました。

衛生仮説

1989年、英国の科学者デビッド・ストラッチャンが衛生仮説を唱えました。仮説の内容は、アレルギーや喘息のような文明病の多くは、過剰に衛生的な環境で育ち、免疫系が細菌に曝されないことによって起こされるというものでした。衛生仮説によれば、小児期は汚れに接触するための大切な期間です。ロブ・ナイト教授とジャック・ギルバート教授の『子どもの人生は「腸」で決まる』では、衛生仮説が正しいことを確認し、若い家族(もちろん、他の人々も)に衛生用品の過剰な使用を控え、子供たちを土や泥の汚れの中(化学物質で汚染されていなければ)で遊ばせることを勧めています。

しかし、なぜ土や泥で汚れることは良いことなのでしょうか?

現在の研究は、衛生仮説をさらに洗練させました。定期的に土や泥などの汚れに触れている人々がより健康で幸福であることが観察され、衛生仮説を支持する有力な説明となっています。今まで、衛生仮説では、土や泥の中のホメオパシーを起こすほどの数の細菌やウイルスによって、私たちの免疫系が強化されているという説明がなされていました。しかし、最近の研究ではむしろ、土や泥の汚れの中にいる「旧友」である細菌そのものが、人間の免疫系を強化していると説明するようになっています。

今回の記事で扱っている論文の原著者であるクリストファー・ローリー教授は、マイコバクテリウム・バッカエを土や泥の中にいる人間の「旧友」として特定しました。ローリー教授は土壌で見つかるこの細菌が、人間の体の中で抗炎症効果を示すことを証明しました。齧歯類を使った試験では、マイコバクテリウム・バカエはさらに抗うつ効果も示しました。気分が突然良くなる要因として、抗炎症物質も挙げられます。

ローリー教授の研究における重要な存在は、10(z)-ヘキサデセノイック酸と呼ばれる脂質です。教授は現代的なシークエンス技術を用いてこの脂質の存在を証明しました。教授の研究ではさらに、10(z)-ヘキサデセノイック酸とマクロファージや免疫細胞の相互作用も調査していて、それらがまるで鍵と鍵穴のように一致することが発見されました。酸とマクロファージや免疫細胞の結合が成功すると、受容体(いわゆるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、PPAR)が活性化し、抗炎症性物質を放出するのです。

これらの発見は誰に恩恵がありますか?

Tローリー教授の研究は、私たちの生活において土や泥の汚れに触れることの重要性と、過剰な衛生がもたらす危険性を改めて強調しています。しかし、教授の研究はさらにもう一歩踏み込んでいます。土や泥の汚れのストレス解消効果は、「抗ストレスワクチン」として用いることができ、現在さらに研究が行われています。兵士などの非常にストレスの大きい環境下にいる人々は、この研究から恩恵を受けられるでしょう。特定された10(z)-ヘキサデセノイック酸にはとても多くの応用が期待されています。

ローリー教授は「この発見はほんの氷山の一角だ」と確信しています。教授は健康を増進してくれる、人間の体に完璧に合う「旧友」が無数に存在することを確信しています。現代人が生活する文明化された社会では、私たちは祖先がかつて住んでいた土や泥の汚れの中で暮らす機会を失っています。ローリー教授の発見は、心身の健康を維持するために必要とされるものを示しています。

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